中原亜梨沙インタビュー|美術の窓 2013年6月号

―――女性像を描かれるようになったのはいつ頃からですか。

中原 幼い頃からよく描いてはいましたが、絵のモチーフとして意識するようになったのは大学生の頃からです。当時はヌードも描いていました。ただ学生の頃は対象を描くという事だけで精一杯で、何を伝えたいのかが曖昧なまま制作していたように思います。大学院の修了制作では人物と植物を組み合わせて描いたのですが、「どうにかして植物と人とを一体化できないか」と次第に考えるようになり、洋服の柄やコサージュとして植物を配置するという現在の表現に辿りつきました。

「みえない星」2012

―――女性の衣服や身につけている小物などの柄、色遣いが特徴的ですね。イメージの参考にされているものはありますか。

中原 ファッションショーで身につける服や、舞台衣装などを参考にしたりしています。女性の顔、衣服、アクセサリーなど全てを含めた一つの塊として、そこに想いを託していきたい。私は沖縄出身ですが、自分が今好んで使う色を考えてみると、沖縄特有の色彩が多少影響しているのかもしれないと思う時があります。

「ひかりになれたら」2012

―――女性を描くことの楽しさ、また難しさはどんなところにありますか。

中原 まず何をもって「女性」とするのかは難しいところではありますが……。ただ女性は、自分にとって一番実感の持てるモチーフです。女性というモチーフを通して、人の「輝きの絶頂」、その一瞬を絵に閉じ込めたいと思っています。しかし、生きていくことは変化し続けることですし、人は皆いつか死んでしまう。そうした現実を目の当たりにしながらも、絶望ではなく今を精一杯生きていこうと思えるような作品を作りたいと思っています。
私は化粧をしている女性を好んで描きますが、眉の形にはいつも苦労します。ベースメイクはいつの時代もそんなに変わらないと思いますが、眉は時代の流行を反映するので、その部分で個性が出すぎないように気をつけながら、美しく、かつ自然になるよう心がけて制作しています。女性を描く魅力はなかなか一言では言い表せませんが、私にとっては安らぎそのものです。