やきものの技法と特性を用いて、過去や現在の身の回りのモチーフを組み合わせ、つくるという身近で普遍的な行いをみつめなおすことを試みています。
粘土を手で細く伸ばしひも状に縒り合わせて、ひもづくりという原始的なやきものの技法をアレンジして成形しています。
人が手でものをつくる歴史の中で培われた手と素材との関係性を、粘土を触る時間の中で感じています。
粘土は一度手を離れ、窯の中の想像のつかない別世界を通り抜けます。
焼成による収縮と永続性のある物質への変化は、曖昧で正体不明な印象を強くします。
つくることの楽しさや懐かしさの普遍性を感じながら、普段の日常が当たり前のようでどこか不思議であることを考えながら制作しています。
いつもと違った目線の世界がみえれば幸いです。(釣光穂)
【モチーフと好きなもの】
縄文土器、弥生土器、須恵器などうつわのかたちをモチーフに主に用います。
並行して火炎型土器、洗剤や調味料などの容れ物、公園の遊具、信楽のタヌキ、薬局のケロちゃん、など
現代の日常で目にするものも土器も身近なものというテーマで選び、制作しています。またひもづくり以外だと金太郎飴の技法でウォーホルのマリリンモンロー、モナリザを制作しています。
金太郎飴は技法としてひもづくりと同様に原始的で現在も用いられている制作方法であることと、古代ローマのコアガラスを知ったのがきっかけで興味を持ちました。好きなことは散歩とスーパーに行くこと。旅行してその土地の空気の匂いを嗅ぐこと。町の看板を見ること。タルトやケーキなどのお菓子の写真を見ること。テキスタイル。コアガラス。紋様。ジュエリー。
広く知られるもの、土地や時代、民族などの象徴について考えること。
人々がイメージを共有していることと、共有していないことの範囲について考えること。【釣光穂(つり・みつほ)プロフィール】
1991年兵庫県生まれ、2016年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器修了、2020年金沢市卯辰山工芸工房修了。洗剤や調味料など日常に目にする容器を観察し、独自の編み物陶芸の「うつわ」につくり変える。現在 石川県の自宅にて制作中。国内の個展、グループ展、アートフェア、など多数出展。-主な受賞歴-
2017年 「第7回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の<今>」(菊池寛実記念智美術館)奨励賞受賞
2019年「金沢卯辰山工芸工房研修者作品展」卯辰山工芸工房賞受賞instagram @mitsuho_tsuri
Exhibition Weekend展覧会Vol.2 田中美穂・釣光穂・松村咲希
2020/08/25artists釣 光穂