村上仁美個展「浮生」が、2021年11月13日~12月3日(金)の期間、銀座 蔦屋書店(東京都中央区GINZA SIX6F)アートエディション前にて開催されます。
愛おしい過去も未来でさえ儚い幻でしかなく、泡沫の生命に執着することこそが苦悩の源であると言われています。しかし、頭ではわかっているはずの道理でも、私にとって腑に落ちた理解には未だ至っていません。出会いの喜びも別離の悲哀も、花一輪分さえ無かったことにしたくないと願わずにいられないからです。
美しい花の咲き朽ちていく様子に人の心と身体の移ろいやすさを重ね見る感受性を私たちは育んできました。腐り果ててなお花を背負わされた女の姿は痛ましいでしょうか。或いは安寧の在処に見えますか。
奪い与えられ生かされている命に意味があるとするならば、風雨に散らされようとする人の尊厳をいつか掬い上げる日の為なのかもしれないと土に向かう中で考えます。その望みによっての苦しみならば、本当の幸いへの一足ずつなのです。(村上仁美)