作家に迫る(第六回) 内田すずめ|カタログ「秋華洞」2017年冬号

 自らが「絵かき」になる前は何人かの画家のモデルでもあり、またコレクターでもあったという異色の経歴を持つ作家です。絵を描きたい気持ちを抑えて就職したものの、やはり描かずにはおれなかったという、この人の絵は荒削りではあるものの、鬼気迫る迫力をたたえています。モデルとしての彼女は、美しく、透明感のある幸福な女性に見えますが、自身が描く自画像の彼女は荒れ狂い、苦しみ、本当の私はあなたの見ている私とは違う、と必死に訴えているようです。

内田 すずめ「螺旋」2017

 油彩画の技法を学び始めてたちまち写実の腕を身に着けた彼女のモチーフは、白を貴重とした幻影の平和を描く一方で、暗闇にうごめく自らの姿や死に臨む動物を題材にして、振れ幅の大きい作品を発表してきました。

内田 すずめ「晩鐘」2017

 活動を始めてわずか数年にもかかわらず、大変な人気を博し、ヨウジヤマモトとのコラボ、小説の表紙、テレビへの出演など話題に事欠かない彼女は、ツイッターなどSNSの活用もうまく、今の時代らしい画家と言えるでしょう。
 けれども、私どもが期待するのは絵画と人生に向き合う彼女の真剣な姿勢がさらに内側から花開くこと。稀有なキャラクターのこの人の今後を我々は見守りたいと思います。
(秋華洞 田中千秋)