二人の作家の共通点は、北海道出身、在住していることである。だからだろうか、色彩は淡く、世界観はどこまでも広い。そしてどこかふんわりとした夢物語のようである。
蒼野甘夏は日本画の技法で描くが、旧態依然とした伝統に縛られてはいない。伸びやかに観るものの心をくすぐるような彼女独自の表現が実に目に心地よい。
一方、クスミエリカはデジタルフォトコラージュの手法を用いる作家だ。素材は彼女自身が撮影した写真のみが使用されている。生と死、希望と絶望などの相反する表現を織り込む彼女の作品は、近未来のようでいてどこか懐かしい、幻想的な世界が広がっている。