岡本東子は、私たちにとっては、池永康晟が見出した作家だ。
いわゆる美人画を描く画家の「仲間」を探していた池永が、連絡先のわからない謎の画家として時折口にしていたのが岡本の名前と作品であった。ネットで見つけた彼女の絵は、不可思議な熱を帯びて視線をそらさない魅力があった。
長年の探索の末、ふとしたきっかけで出会い、私どもで展示を始めることになった。
岡本は、おそらく、自分の中にある、女としての本質を探ろうとしている。
それはまだオンナ、と名付けられる前の、魂のありかとしての女性像なのだろう。色っぽいような気だるいような岡本の描く空間と女性は、オンナいう役割から曖昧にはみ出しながら、暗闇に存在感を漂わせている。
そこに美のありかの本質を探そうとする彼女の旅が、どこまで行き着くのか。私たちは期待しながら見守っている。(秋華洞 田中千秋)
2016/12/05
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