甘やかな大人の「女」の空間を松浦シオリは描く。現代性と大正ロマンが入り混じったような演出のたくみさは、こんにち、稀有である。
画家は女性だが、少年の目から見た憧れの女性を描いているという。両性具有的な視点だからこそ、このフィクショナルだがリアルな感触さが表現されているのだろう。
絵は日本画風だが、驚くべきことにすべてCGで描かれている。だが作品のクオリティは凡百の美人画よりも高く、物語性を持ったエロティシズムというべき空間演出能力を持つ。
スマホやネットの普及によって感性が何もかもデジタル化されていく現代だが、彼女の作品はそれに逆らうように、どこまでも濃密な人の匂いを伝える。
Matsuura Shiori
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